原因不明の頭痛や肩こり。「噛み合わせ」が原因かもしれません。歯科医が教える不調のサインと改善法

松山歯科医院のブログをご覧いただき、ありがとうございます。院長の松山です。
「虫歯はないはずなのに、奥歯がなんとなく痛む」 「整体やマッサージに行っても、肩こりや頭痛がすぐにぶり返してしまう」 「朝起きた時、顎(あご)が重だるく感じる」
もし、このような症状に心当たりがあるのなら、それは「噛み合わせ(咬合)」の不調が原因かもしれません。 噛み合わせの問題は、単に「歯並びが悪い」ということだけでなく、顎の関節、筋肉、さらには日々の姿勢やストレスなど、様々な要因が複雑に絡み合って引き起こされます。
「歯医者さんは歯を削るところ」というイメージが強いかもしれませんが、実はお口全体のバランスを整えることで、全身の不調を改善するお手伝いもできるのです。 この記事では、意外と知られていない「噛み合わせと健康の関係」について、専門家の視点から分かりやすく紐解いていきます。 長引く不調の解決の糸口になれば幸いです。
目次
- 「歯」だけではありません。噛み合わせの不調が引き起こすサイン
- なぜズレてしまうのか?無意識の「クセ」と「姿勢」の影響
- いきなり削ることはありません。当院の診断と治療ステップ
- 寝ている間の「歯ぎしり」から歯を守るマウスピース療法
- 今すぐできる!「歯を離す」リラックス習慣
- 噛み合わせの違和感は、我慢せずにご相談ください
「歯」だけではありません。噛み合わせの不調が引き起こすサイン
「噛み合わせが悪い」と聞くと、食事がしにくい状態を想像されるかもしれません。 しかし、実際には「噛めるけれど、なんとなく不調」というケースが非常に多いのです。
噛み合わせのバランスが崩れると、それを補おうとして顎の周りの筋肉(咀嚼筋)が常に緊張状態になります。この筋肉の緊張は、首や肩、こめかみへと広がり、次のような全身のトラブルとして現れることがあります。
- 原因不明の頭痛・肩こり: こめかみや首筋が常に張っている。
- 顎のトラブル(顎関節症): 口を開けるとカクカク音がする、大きく開けにくい。
- 歯のトラブル: 特定の歯だけがしみる(知覚過敏)、詰め物が頻繁に外れる、歯にヒビが入る。
- 顔の歪み: 鏡を見た時、口角の高さが違う気がする。
これらの症状は、整形外科や耳鼻科を受診しても原因が特定できないことが多く、「不定愁訴(ふていしゅうそ)」として悩まれている患者さまも少なくありません。
なぜズレてしまうのか?無意識の「クセ」と「姿勢」の影響
では、なぜ噛み合わせは悪くなってしまうのでしょうか? 生まれつきの骨格や歯並びももちろん関係しますが、大人になってからの不調の多くは「生活習慣」が大きく関わっています。
- 1. TCH(歯列接触癖)という無意識のクセ 通常、リラックスしている時、上下の歯は触れ合わず、数ミリの隙間が空いているのが正常です。 しかし、ストレスを感じている時や、何かに集中している時に、無意識に上下の歯を接触させ続けてしまうクセを「TCH(Tooth Contacting Habit)」と呼びます。弱い力であっても、長時間続けば顎や歯には凄まじい負担がかかります。
- 2. 姿勢の崩れと口呼吸 近年増えているのが、デスクワークやスマホ操作による「猫背・ストレートネック」の影響です。 頭が前に出ると、下顎は後ろに引っ張られ、噛み合わせの位置がズレやすくなります。また、鼻炎などで「口呼吸」になっていると、舌の位置が下がり、顎のバランスを崩す原因となります。
- 3. 歯科治療の経年変化 過去に治療した詰め物や被せ物がすり減ったり、逆に高すぎたりすることで、微妙なバランスの崩れが生じることもあります。
いきなり削ることはありません。当院の診断と治療ステップ
「噛み合わせの治療=歯を削って調整する」と思っていませんか? 確かに最終的に微調整を行うことはありますが、当院では「いきなり歯を削る」ことはいたしません。 一度削ってしまった歯は元に戻せないからです。まずは慎重に検査を行い、原因を突き止めることから始めます。
- Step 1. 問診と触診 どのような時に症状が出るのか、日中の食いしばりや寝ている間の歯ぎしりがあるかなどを詳しく伺います。また、顎の筋肉(咬筋や側頭筋)を触って、コリや痛みの有無を確認します。
- Step 2. 口腔内検査と画像診断 歯のすり減り具合や、頬の内側に噛んだ跡がないかを確認します。レントゲンや口腔内写真を用いて、顎関節の状態や詰め物の適合状態を客観的に評価します。
- Step 3. 治療計画の立案 検査結果に基づき、まずは「削らない治療(保存療法)」からご提案します。
寝ている間の「歯ぎしり」から歯を守るマウスピース療法
多くの患者さまに効果的なのが、「スプリント(マウスピース)療法」です。 寝ている間の歯ぎしりや食いしばりは、体重の数倍もの力がかかると言われており、ご自身の意思でコントロールできません。
専用のマウスピースを就寝時に装着していただくことで、以下のメリットがあります。
- 歯と歯が直接ぶつかるのを防ぎ、摩耗や破折から守る。
- 顎の関節にかかる負担を軽減し、筋肉の緊張を和らげる。
- 顎の位置を安定させ、正しい噛み合わせへ誘導する。
まずはマウスピースで筋肉の緊張を取り除き、顎が正しい位置に戻ってから、必要に応じて詰め物の高さ調整などを行います。これが、最も体への負担が少なく、確実な治療ステップです。
今すぐできる!「歯を離す」リラックス習慣
歯科医院での治療と並行して、患者さまご自身で意識していただきたいことがあります。 それは、「唇は閉じて、歯は離す」という習慣をつけることです。
日中、ふとした瞬間に上下の歯が触れ合っていることに気づいたら、以下のリセット動作を行ってみてください。
- 肩をギュッと持ち上げて、ストンと落とす(脱力)。
- 「ふーっ」と息を吐きながら、上下の歯を離す。
- 舌の先を、上の前歯の裏側の歯茎(スポット)に軽く触れさせる。
また、パソコン作業中は30分に1回休憩を入れる、寝る前のスマホを控えてリラックスするなど、筋肉を緩める時間を作ることが、噛み合わせの改善には非常に有効です。
噛み合わせの違和感は、我慢せずにご相談ください
最後までお読みいただき、ありがとうございました。 噛み合わせの不調は、目に見えにくい分、「気のせいかな」「疲れているだけかな」と放置してしまいがちです。 しかし、毎日使うお口のことですから、少しの違和感でも積み重なれば大きなストレスになります。
「削る前に整える」 これが、私たち松山歯科医院の噛み合わせ治療の基本方針です。 もし、光が丘で噛み合わせの違和感や、原因不明の顎の疲れにお悩みなら、ぜひ一度当院にご相談ください。 患者さま一人ひとりの原因に合わせた、丁寧なケアをご提案させていただきます。

