歯ぐきの腫れや出血は危険信号?院長が解説する原因と正しい対処法

松山歯科医院のブログをご覧いただき、ありがとうございます。院長の松山です。

 

ふとした瞬間に鏡を見たとき、「あれ? 歯ぐきが赤く腫れているな」と気になったり、歯磨きの後に吐き出した水が薄っすらと赤くてドキッとしたりした経験はありませんか? 「痛みはないし、疲れているだけだろう」「数日すれば治るはず」 忙しい毎日の中で、そう自分に言い聞かせて様子を見てしまうお気持ち、とてもよく分かります。

 

しかし、歯科医師としての立場から申し上げますと、歯ぐきの出血や腫れは、体からの「助けて!」という明確なSOSサインであることがほとんどです。 特に痛みがない場合こそ、水面下で病気が進行している可能性があり、注意が必要です。

 

この記事では、なぜ歯ぐきが腫れたり血が出たりするのか、その根本的な原因と、放置することで生じるリスクについて詳しくお話しします。 「まだ大丈夫」と自己判断せず、ご自身の健康を守るための正しい知識としてお役立てください。

目次

その出血、「磨きすぎ」か「病気」か。見極めのポイント

歯ぐきからの出血や腫れの原因は、大きく分けて2つあります。 一つは「物理的な刺激による傷」、もう一つは「細菌感染による炎症」です。

  • 1. 物理的な刺激(オーバーブラッシングなど) 「汚れをしっかり落としたい」という一心で、硬めの歯ブラシを使ってゴシゴシと力任せに磨いていませんか? 歯ぐきは非常にデリケートな組織です。強い力で擦りすぎると、傷がついて出血したり、歯ぐきが下がってしまったりする原因になります。 この場合、優しく磨くように習慣を変えれば数日で治まることが多いですが、自己流のブラッシング癖はなかなか抜けないものです。
  • 2. 細菌感染(プラークによる炎症) 圧倒的に多いのがこちらです。歯と歯ぐきの境目(歯周ポケット)に溜まったプラーク(歯垢)は、単なる食べカスではなく、細菌の塊です。 体がこの細菌と戦おうとして血液を集めるため、歯ぐきが赤く腫れ上がり、少しの刺激で血管が破れて出血しやすくなります。 もし、「優しく磨いているのに血が出る」のであれば、それは歯周病の初期段階である可能性が極めて高いと言えます。

「痛くない」こそ要注意。静かに進む歯周病の怖さ

「血は出るけれど、痛くはないんです」 診察室でそうおっしゃる患者さまは少なくありません。実は、これこそが歯周病の最も恐ろしい点です。

 

歯周病は別名「サイレントキラー(静かなる殺し屋)」とも呼ばれ、初期から中期の段階では痛みを伴わずに進行します。 痛みを感じる頃には、すでに歯を支えている骨(歯槽骨)が溶かされ、歯がグラグラ揺れている…というケースも珍しくありません。

 

「出血」は、痛みが出る前の段階で体が教えてくれる、数少ない警告サインです。 このサインを見逃さず、早期に対応できるかどうかが、将来ご自身の歯を残せるかどうかの分かれ道となります。

お口だけの問題ではありません。全身の健康との深い関係

「たかが口の中の炎症でしょ?」と軽く考えてはいけません。 近年の研究で、歯周病菌や炎症物質が血管を通じて全身に回ることで、様々な病気のリスクを高めることが分かってきました。

  • 糖尿病: 歯周病が悪化すると血糖コントロールが悪くなり、糖尿病が悪化すると歯周病も進行するという、負の相関関係があります。
  • 心疾患・脳血管疾患: 血管内に炎症を引き起こし、動脈硬化を促進させるリスクがあります。
  • 早産・低体重児出産: 妊娠中の女性の場合、歯周病菌が子宮の収縮を促してしまい、早産のリスクが高まると言われています。

お口の健康を守ることは、全身の健康を守ること、ひいてはご家族との幸せな時間を守ることに直結しています。 私たち歯科医師が、しつこいほどに「定期検診」をお勧めするのは、こういった全身への悪影響を未然に防ぎたいという想いがあるからです。

「様子を見る」のはいつまで?受診すべきタイミング

ご自身で判断するのは難しいかもしれませんが、以下のチェックリストに一つでも当てはまる場合は、できるだけ早めの受診をお勧めします。 「この程度で行ってもいいのかな?」と遠慮する必要はありません。

  • 歯磨きのたびに歯ブラシに血がつく
  • 歯ぐきが赤紫色になって、腫れぼったい感じがする
  • 口臭が強くなった(マスクの中で自分の息が気になる)
  • 朝起きたとき、口の中がネバネバする
  • 歯と歯の間に食べ物が挟まりやすくなった
  • 以前より歯が長くなったように見える(歯ぐきが下がった)

これらの症状は、自然治癒することはほとんどありません。 放置すればするほど治療期間は長くなり、費用もかさんでしまいます。「気になったとき」が、受診のベストタイミングです。

当院の治療方針:原因を断つ「根本治療」と「予防」

松山歯科医院では、腫れや出血の症状がある場合、いきなり治療を始めることはいたしません。 まずは丁寧なカウンセリングと検査を行い、「なぜその症状が出ているのか」を突き止めます。

  • ① 精密な検査 レントゲンで骨の状態を確認し、「プローブ」という器具を使って歯周ポケットの深さを測ります。これによって歯周病の進行度を数値化し、患者さまにも分かりやすくご説明します。
  • ② プロフェッショナルケア(原因除去) 炎症の直接的な原因であるプラークや、石のように固まってしまった歯石を、専用の機器(スケーラー)を使って徹底的に除去します。 痛みに敏感な方には、麻酔を使用するなど配慮しながら行いますのでご安心ください。
  • ③ ブラッシング指導(セルフケアの改善) 治療と同じくらい大切なのが、ご自宅でのケアです。 患者さま一人ひとりの歯並びや歯ぐきの状態に合った歯ブラシを選び、効果的で、かつ歯ぐきを傷つけない磨き方をアドバイスさせていただきます。
  • ④ 継続的なメンテナンス 治療が終わった後も、再発を防ぐために定期的なチェックを行います。 「治療の終わり」は「予防の始まり」です。私たちと一緒に、健康な状態をキープしていきましょう。

まとめ

歯ぐきの腫れや出血は、決して見過ごしてはいけないサインです。 早期に発見し、適切な処置を行えば、歯周病の進行を食い止め、健康なピンク色の歯ぐきを取り戻すことができます。 「あの時、歯医者に行っておけばよかった」と後悔するのではなく、「早めに来てよかった」と笑顔になっていただきたい。それが私の願いです。

 

光が丘で歯ぐきの腫れや出血についてのご相談なら、松山歯科医院へお任せください。 スタッフ一同、皆さまのお口の健康を全力でサポートいたします。