歯石を放置するとどうなる?歯科医師が教える歯周病リスクと除去の重要性

松山歯科医院の院長です。
毎日の診療の中で、「歯石を取ったほうがいいのは分かっているけれど、痛いのが嫌で何年も放置してしまった」「特に痛みがなかったので、つい後回しにしてしまった」というお声をよく耳にします。
お仕事や家事でお忙しい中、自覚症状がない状態であえて歯医者に足を運ぶのは、確かにハードルが高いかもしれません。しかし、歯石を「痛くないから」と放置しておくことは、実はお口の健康、ひいては全身の健康にとって非常に危険な状態なのです。
この記事では、歯石がどのようにして作られるのか、そのままにしておくと将来どんなリスクが待ち受けているのかを、分かりやすく解説します。
この記事をお読みいただければ、なぜ私たちが「定期的な歯石取り」を強くおすすめするのか、その理由をご理解いただけるはずです。
目次
- そもそも「歯石」とは?なぜ毎日の歯磨きだけでは防げないのか
- 歯石を放置するとどうなる?お口と体に迫る3つの大きなリスク
- ・リスク1:サイレントキラー「歯周病」の進行と歯の喪失
- ・リスク2:ご自身では気づきにくい「口臭」の悪化
- ・リスク3:糖尿病や心疾患など「全身疾患」への悪影響
- 自分で歯石を取るのは危険?セルフケアの限界とプロのケア
- 「痛いのが苦手」な方へ。当院の痛みに配慮した歯石除去ステップ
- まとめ:歯石除去は「一生自分の歯で食べるため」の第一歩
1. そもそも「歯石」とは?なぜ毎日の歯磨きだけでは防げないのか
「毎日しっかり歯を磨いているのに、なぜ歯石ができるの?」と不思議に思われるかもしれません。
お口の中には無数の細菌が住み着いています。食べカスなどをエサにして細菌が増殖したものが、白くねばねばした「プラーク(歯垢)」です。実は、このプラークはただの汚れではなく、細菌の塊です。
プラークの段階であれば、丁寧なブラッシングやデンタルフロスで落とすことができます。しかし、磨き残したプラークが唾液の中のカルシウムやミネラル成分と結びつくと、わずか2〜3日でカチカチに石灰化してしまいます。これが「歯石」です。
一度石のように硬くなってしまった歯石は、市販の歯ブラシでどんなに強くこすっても絶対に落ちません。ご自宅でのセルフケアには限界があるため、できてしまった歯石は歯科医院の専用器具で取り除くしかないのです。
2. 歯石を放置するとどうなる?お口と体に迫る3つの大きなリスク
歯石の表面はザラザラしているため、そこへさらに新しいプラーク(細菌)が付着しやすくなります。いわば、歯石は「細菌にとっての超高層マンション」のようなものです。これを放置すると、次のような恐ろしいリスクを引き起こします。
・リスク1:サイレントキラー「歯周病」の進行と歯の喪失
歯石をすみかにした細菌は、毒素を出し続けて歯ぐきに炎症を起こします。これが「歯周病」です。歯周病は初期段階ではほとんど痛みがなく、静かに進行するため「サイレントキラー」とも呼ばれています。
放置し続けると、炎症は歯ぐきから歯を支える骨(歯槽骨)にまで及び、骨を少しずつ溶かしていきます。最終的には、虫歯でもない健康な歯がグラグラになり、抜け落ちてしまうのです。日本人が歯を失う最大の原因は、虫歯ではなくこの歯周病だということをぜひ知っておいてください。
・リスク2:ご自身では気づきにくい「口臭」の悪化
歯石の中で増殖した歯周病菌は、特有のガス(硫化水素やメチルメルカプタンなど)を発生させます。これが、強い口臭の原因となります。
厄介なことに、口臭はご自身ではなかなか気づきにくく、ご家族やご友人から指摘されて初めてショックを受ける方も少なくありません。どんなに高級なマウスウォッシュを使っても、根本の原因である歯石を取り除かない限り、口臭を完全に断ち切ることはできません。
・リスク3:糖尿病や心疾患など「全身疾患」への悪影響
近年、歯石を原因とする歯周病が、お口の中だけの問題ではないことが医学的に明らかになってきました。
歯ぐきの毛細血管から体内に入り込んだ歯周病菌や毒素は、血流に乗って全身を巡ります。これが、糖尿病の悪化、動脈硬化による心筋梗塞や脳梗塞、さらには誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)など、命に関わる深刻な全身疾患の引き金になることが分かっています。歯石を放置することは、全身の健康を脅かすことと同義なのです。
3. 自分で歯石を取るのは危険?セルフケアの限界とプロのケア
インターネットや通信販売などで、「自分で歯石を取るための器具(スケーラー)」が売られているのを見かけることがあります。しかし、歯科医師として、ご自身で歯石を取ろうとすることは絶対におすすめできません。
お口の中は暗くて見えにくく、専門的なトレーニングを受けていない方が鋭利な器具を扱うと、歯ぐきを深く傷つけたり、健康な歯の表面を削ってしまったりする危険性が非常に高いからです。歯の表面に傷がつくと、そこへさらに汚れが溜まりやすくなり、事態を悪化させてしまいます。
安全かつ確実に歯石を取り除くためには、国家資格を持つ歯科医師や歯科衛生士による「プロのケア」が不可欠です。
4. 「痛いのが苦手」な方へ。当院の痛みに配慮した歯石除去ステップ
「歯石取りはチクチクして痛い、血が出るから怖い」というイメージをお持ちの方もいらっしゃるでしょう。確かに、歯石が大量に溜まり歯ぐきが強く炎症を起こしている状態では、器具が触れるだけで痛みを感じやすくなります。
しかし当院では、患者様がストレスなくクリーニングを受けられるよう、痛みに最大限配慮した丁寧なステップを踏んでいます。
ステップ1:お口の状況のチェックとご説明
まずは、どこにどのくらい歯石がついているのか、歯ぐきの状態はどうなっているのかを丁寧に確認します。患者様にも状況をご理解いただけるよう、必要に応じてお口の中の写真などを用いて分かりやすくご説明します。
ステップ2:超音波スケーラーによる優しい除去
主に超音波の微細な振動を利用して、水で洗い流しながら歯石を粉砕・除去します。ガリガリと無理に削り取るわけではないため、歯への負担や痛みを最小限に抑えることができます。
ステップ3:手用のスケーラーで細部の仕上げ
歯と歯ぐきの境目(歯周ポケット)の奥深くなど、機械では届きにくい繊細な部分は、熟練した歯科衛生士が手用の専用器具を使って丁寧に取り除きます。万が一痛みが強い場合は、表面麻酔などを使用することも可能ですのでご遠慮なくお申し付けください。
ステップ4:歯面研磨(PMTC)でツルツルに
歯石を取った後の歯の表面はわずかにザラついているため、専用のペーストとブラシを使って滑らかに磨き上げます。これにより、新たなプラークや歯石がつきにくい環境を整えます。
5. まとめ:歯石除去は「一生自分の歯で食べるため」の第一歩
「痛くなってから歯医者に行く」という習慣を続けていると、いずれ大切な歯を失うことになってしまいます。歯石は、どんなに歯磨きが上手な方でも、時間が経てば少しずつ溜まってしまうものです。
だからこそ、ご自宅でのセルフケアに加えて、定期的に歯科医院で歯石を取り除き、お口の中をリセットすることが欠かせません。痛みのない、スッキリと清潔なお口を維持することは、将来美味しい食事を自分の歯で楽しみ続けるための最も確実な投資です。
「何年も歯医者に行っていない」「自分の口に歯石があるか診てほしい」という方は、ぜひ勇気を出して一歩を踏み出してみてください。私たちは、あなたのお口の健康を全力でサポートいたします。
光が丘で痛みに配慮した歯石除去や歯周病予防についてのご相談なら、松山歯科医院へお任せください。皆様のご来院を心よりお待ちしております。
少しでも参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
監修者情報
【略歴】
【所属学会・資格】
- ・日本口腔インプラント学会 所属
- ・日本臨床歯周病学会 所属
- ・日本歯周病学会 所属
- ・厚生労働省認定 歯科医師臨床研修指導医
- ・インディアナ大学歯学部 歯周学インプラント科 JIP-IU研究員
- ・日本顎咬合学会 所属
- ・日本歯科大学・セントラルクリニック歯髄細胞バンク 認定医

